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執筆・監修 株式会社MJE 「IT機器のお悩み解決コラム」編集部
当社は創業以来20年にわたり、複合機をはじめとするOA機器の提案を行してきました。全国50,000社以上との取引実績と豊富な知見を活かして、皆さまのオフィスづくりに役立つ情報をお届けします。
>> 企業情報はこちら企業のセキュリティ対策において、長らく「導入して当たり前」とされてきたUTM(統合脅威管理)。しかし、テレワークの普及やクラウドサービスの拡大に伴い、多くの経営者やIT担当者が一つの疑問を抱き始めています。
「毎月高額なリース料を支払っているこの箱は、今の自社にとって本当に必要なのか?」
働き方が変われば守り方も変わります。環境によっては、UTMが必須ではないケースもあれば、逆に安易に撤去することで致命的な情報漏洩リスクを招くケースもあります。
本記事では、セキュリティのプロフェッショナルの視点から、なぜ今UTM不要論が出ているのか、その背景と真偽を徹底解説します。さらに、UTMを廃止しても安全を担保できる条件や、EDR・SASEといった最新の代替手段についても具体的に紹介します。自社のIT環境に最適な投資判断をするための材料としてお役立てください。
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目次

なぜ今、これほどまでにUTMの必要性が議論されているのでしょうか。単なるコスト削減のトレンドではなく、ITインフラと攻撃者の手法が劇的に変化したことが根本的な要因です。ここでは、現代のセキュリティ環境における構造的な変化を3つの視点で紐解きます。
まずは、UTM(Unified Threat Management)が本来どのような役割を果たしているのかを整理しましょう。
UTMは、インターネットと社内ネットワークの境界(出入り口)に設置される物理的なハードウェアです。その最大の特徴は、複数の異なるセキュリティ機能を一台に集約している点にあります。


従来のセキュリティは「境界型防御」と呼ばれ、会社という「城」の内側は安全、外側は危険という前提で設計されていました。UTMはこの城門を守る門番です。
しかし、テレワークが一般化し、社員が自宅、カフェ、コワーキングスペースなど、オフィスの外で仕事をするのが当たり前になりました。社外にあるノートパソコンは、オフィスのUTMを経由せずに直接インターネットに接続します。
つまり、どんなに高性能なUTMを本社に設置していても、自宅で仕事をしている社員のパソコンがマルウェアに感染すれば、そこから情報が漏洩してしまいます。守るべき対象(社員とPC)が城の外に出てしまった以上、城門(オフィス)の守りを固めつつ、テレワーク端末など「城の外」でのリスクにも目を向ける必要が出ています。
もちろんVPN(Virtual Private Network)を使って社内ネットワークを経由させる方法もあります。しかし、VPNには通信速度の低下や、VPN装置自体の脆弱性を狙われるリスクがあります。運用負荷や速度面の課題も踏まえ、より安全で快適にアクセスできる環境を検討する必要があります。

たとえば、カフェで仕事をしている社員のPCは、オフィスに設置されたUTMの保護対象外です。つまり、会社の入口をどれだけ強固に守っても、社外で働く社員のPCまでは守れません。
かつて、企業の重要データは社内のファイルサーバーや業務システムに保存されていました。これらを守るためにUTMは必須でした。
しかし現在、多くの企業がGoogle WorkspaceやMicrosoft 365などのグループウェア、Salesforceなどの営業支援システム、freeeやマネーフォワードなどのクラウド会計ソフトを利用しています。これらはすべてSaaS(Software as a Service)であり、データは社内ではなく、クラウドベンダーのデータセンターに保管されています。
「社内のPC」から「社外のクラウド」へ直接アクセスして仕事が完結する場合、社内ネットワークの入り口にあるUTMが検査できる通信は限られてきます。さらに、通信のほとんどがSSL/TLSで暗号化されているため、従来のUTMでは中身を復号して検査することが難しく、暗号化通信の増加に対応するため、最新モデルへの入れ替えや、負荷を分散させる構成への見直しが重要です。
「ネットワークで止める」のが難しくなった一方で、PCそのもの(エンドポイント)を守る技術が飛躍的に進化しました。それがEDR(Endpoint Detection and Response)です。
従来のウイルス対策ソフトは既知のマルウェアの「特徴」と照合してブロックしていましたが、未知のマルウェアや高度なサイバー攻撃には無力でした。対してEDRは、PC内部の挙動を常時監視し、「不審な動き」を検知します。
こうした異常をPC単体で検知・遮断できるようになったため、必ずしもネットワークの入り口(UTM)で100%の防御壁を築くことに固執する必要性が薄れてきました。「侵入されることを前提」とし、被害を最小限に抑えるアプローチへの転換です。

では、具体的にどのような環境であれば、UTMを撤去したり、新規導入を見送ったりしてもセキュリティリスクを抑えられるのでしょうか。以下の3つの条件に当てはまる場合、UTMは「過剰投資」あるいは「効果が限定的」である可能性が高いと言えます。
物理的なオフィスに人がおらず、従業員全員が自宅やサテライトオフィスからフルリモートで勤務している場合、オフィスに設置されたUTMは実質的に稼働していません。
たまに出社する数名のためだけに、月額数万円〜数十万円のリース料を支払い、電気代をかけてハードウェアを維持するよりもクラウド型や端末保護に予算をシフトする方が効率的です。このようなケースでは、後述するクラウド型のセキュリティや、各PC端末へのセキュリティ投資に予算を振り替えることも検討してもいいでしょう。
社内に物理的なファイルサーバー(NAS)や、オンプレミスの基幹システムが存在しないケースです。
たとえば、以下のように業務環境の大半がクラウド化されている企業が該当します。
このように、守るべき重要なデータやシステムが社内ネットワーク内に一切存在しないのであれば、外部からの侵入を防ぐ「社内ネットワークの入口対策」としてのUTMの重要度は相対的に低下します。攻撃者が社内ネットワークに侵入しても、そこには盗むべきデータが入ったサーバーがないからです。
この環境下では、ネットワークの監視よりも、クラウドサービスへの不正ログインを防ぐための「ID管理(多要素認証など)」や「アクセス権限の管理」のほうが優先順位は高くなります。

社内に金庫(サーバー)がなければ、オフィスの入口だけを厳重に守っても効果は限定的です。クラウド利用が中心なら、UTMだけでなく、ID管理やアクセス権限管理の強化も重要になってきます。
UTMをなくす代わりの「盾」として、全社員のPCにEDRを導入し、さらにMDM(モバイルデバイス管理)で紛失・盗難対策やOSのアップデート管理が徹底されている場合です。
UTMが担っていた「マルウェアの検知」はEDRがより高精度に行い、「Webフィルタリング」もエージェントソフトを入れることでデバイス単位で制御可能です。デバイス自体が強力な鎧を着ている状態であれば、オフィスの入り口に門番がいなくても、各個人が自律的に脅威を防ぐことができます。
特にWindows 10/11のOS標準セキュリティ(Microsoft Defender)も性能が向上しており、第三者機関AV-TESTの2025年評価では99%のマルウェア検出率を記録しています。Microsoft DefenderとEDRを組み合わせることで、UTMなしでも十分な強度を保てるケースは増えています。
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「コスト削減したいから」という理由だけで安易にUTMを廃止するのは非常に危険です。以下の条件に当てはまる企業にとって、UTMは依然として「最後の砦」であり、外してはいけない重要な防波堤です。
社内のNAS(ネットワーク接続ストレージ)や、独自の販売管理システムが入ったサーバーに、顧客情報や図面データ、マイナンバーなどの重要情報を保管している場合は、UTMが必須です。
SaaSとは異なり、社内サーバーは自社で守らなければなりません。もしUTM(ファイアウォール)がなければ、外部の攻撃者からサーバーが丸見えの状態になり、脆弱性を突かれて不正アクセスやランサムウェアの標的にされます。
PCのセキュリティソフトはPCを守りますが、サーバーやNASそのものをネットワーク攻撃から守るには、入り口での遮断機能が欠かせません。
社内ネットワークにつながっているのは、PCやサーバーだけではありません。オフィスでは、次のような機器もネットワークに接続されています。
これらのIoT機器には、PCのようにセキュリティソフト(アンチウイルスやEDR)をインストールすることができない場合があります。しかも、ファームウェアやOSのアップデートが後回しになりやすく、古い状態のまま使われているケースもあります。
攻撃者は、防御の甘いこれらのIoT機器を最初の「踏み台」にして社内ネットワークに侵入し、そこからPCやサーバーへ横展開(ラテラルムーブメント)して攻撃を広げることがあります。PCを守る対策だけでは、複合機やIP電話、防犯カメラなどの機器までは守りきれません。ネットワークの入口で不審な通信を検知・遮断できるUTMは、こうしたPC以外の機器を含めて社内ネットワークを守るうえで重要な役割を担います。

複合機や防犯カメラには、PCのようにセキュリティソフトを入れられません。こうした機器が攻撃の入口になることもあるため、ネットワーク全体を守るUTMの役割は大きいですね。
来客用や会議室用にWi-Fiを提供している場合、不特定多数の外部デバイスが社内の回線を利用することになります。
もし、来客の持ち込んだPCがマルウェアに感染していたらどうなるでしょうか。UTMによるネットワークのセグメント分け(社内用とゲスト用の分離)や、マルウェア拡散防止機能(IPS)が働いていれば、社内ネットワークへの感染拡大を防げます。
しかし、何の対策もなしに同じルーターに接続させていれば、来客のPCから社内のPCやサーバーへマルウェアが飛び火するリスクがあります。不特定多数が接続する環境では、ネットワークレベルでの監視・制御が必要です。
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「UTMの更新時期が来たが、今の高額なリースを続けるのは躊躇する。かといって無防備にはできない」
そのような場合に検討すべき、UTMからの移行先、あるいはUTMと併用すべき現代的なセキュリティソリューションを紹介します。これらはUTMを廃止するためのものではなく、併用して守りを固めるための有力な選択肢です。
記事の前半でも触れましたが、これからのセキュリティの主役はEDRです。「マルウェア感染を100%防ぐことは不可能」という前提に立ち、侵入後の検知と対応スピードを最大化します。

中小企業向けには、運用監視をプロに任せる「マネージドEDR」というサービスも注目され始めています。
「社内ネットワークは安全」という境界防御の概念を捨て、「すべてのアクセスを信頼せず、都度検証する」のがゼロトラストの考え方です。これを具現化するのがZTNAソリューションです。

VPNの代替として注目されており、ユーザーが社内システムやクラウドサービスにアクセスする際、場所に関係なく「本人確認」「端末の安全性確認」「アクセス権限」を厳密にチェックします。
「UTMの機能は必要だが、ハードウェアをオフィスに置きたくない」という場合の最適解がSASE(サッシーまたはサシー)です。簡単に言えば、UTMの機能をクラウド上に移設したものです。

社員のPCは、オフィスにいても自宅にいても、一度必ずこの「クラウド上の検問所」を経由してインターネットに接続します。
現在、大企業を中心にハードウェアのUTMからこのSASE(またはクラウド型Webゲートウェイ)へ移行する企業が増えています。

UTMを継続するか、EDRやSASEへ乗り換えるか。その決断を間違えないためには、以下の2つの視点で自社の現状を冷静に分析する必要があります。
まずは「守るべきもの」と「守る場所」の棚卸しです。以下のチェックリストを活用してみてください。
| 確認項目 | チェックポイント | 推奨される対策の方向性 |
|---|---|---|
| データの場所 | 社内サーバー主体か、クラウド主体か? | 社内ならUTM必須。クラウドならID管理・EDR優先。 |
| 勤務形態 | 出社メインか、テレワークメインか? | 出社ならUTM有効。テレワークならEDR/SASE。 |
| 接続機器 | PC/スマホのみか、IoT機器もあるか? | IoTがあるならネットワーク防御(UTM)が必要。 |
| 重要度 | 止まると業務停止するシステムはあるか? | 重要度が高いほど、多層防御(UTM+エンドポイントセキュリティ)が安心。 |
コスト比較をする際、単に「UTMの月額リース料」と「EDRのライセンス料」を比べるだけでは不十分です。
「安ければいい」ではなく、「万が一のときに会社を守り切れるか」という視点で、コストとリスクのバランスを見極めてください。



ここまで解説した通り、現在のセキュリティ対策に「これさえ入れればOK」という万能薬はありません。UTMを残すべき部分、クラウドへ移行すべき部分、エンドポイントで守る部分をパズルのように組み合わせる必要があります。
しかし、通常業務で忙しい経営者やIT担当者様が、最新の脅威動向を把握し、自社にベストな構成を設計するのは至難の業です。
弊社では、中小企業のお客様に向けて、以下のサポートをご提供しています。
このような課題でお悩みの方は、ぜひ一度ビズオールにご相談ください。貴社の働き方にフィットした、無駄のないセキュリティ環境の構築をお手伝いします。
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ここでは、UTMに関して現場の担当者からよく寄せられる質問に、Q&A形式で回答します。
役割が異なるため、基本的には「併用」または「EDRへのアップグレード」が推奨されます。
従来のウイルス対策ソフトは、PC内部に入ってきたマルウェアを検知するものですが、昨今の攻撃はソフトをすり抜ける高度なものが増えています。UTMは「敷地内に入れない」ための壁であり、ウイルス対策ソフトは「家の中に入った泥棒への対処」です。
ただし、PC側のソフトを高性能な「EDR」に切り替えるのであれば、UTMでネットワークを、EDRで個々のPCを守るという「多層防御」により、格段に安全性を高めることができます。
機器のスペックが不足している場合、遅くなることがあります。
UTMは通信の中身を一つひとつ検査するため、処理負荷がかかります。従業員数や通信量に対して処理能力が低いモデルを選定してしまうと、ネットが遅くなる原因になります。特にWeb会議などの大容量通信が増えている現在は、余裕を持ったスペック選定が必要です。
「なぜ必要なのか」が明確でないなら、見直しの好機です。
前述した「UTMが必要なケース(社内サーバーがある等)」に該当するなら、引き続きUTMでの対策が有効です。該当しない場合は、クラウドセキュリティやエンドポイントセキュリティへの切り替えも選択肢となります。 どちらにしても、「今まで置いていたから」ではなく、現在の環境に最適な選択をすることが大切です。
PC単体の防御力は高いですが、組織全体の管理には課題が残ります。
Windows標準のDefenderは非常に優秀で、第三者機関AV-TESTの2025年評価では99.7%のマルウェア検出率を記録しています。常に最新の状態に自動更新される点も大きな特徴です。
ただし、各個人のPCで適切にアップデートされているか、何か検知した際に管理者がすぐに把握できるか、といった「管理面」では専用ソフトに劣ります。組織として守るなら、Defenderを一元管理できる仕組み(Microsoft Defender for Businessなど)や、別途UTM等のネットワーク防御を組み合わせるのが安全です。
基本的には止まります。だからこそ保守体制が重要です。
UTMはネットワークの出入り口に設置されるため、故障するとインターネットへの接続が遮断されます(これを単一障害点といいます)。そのため、故障時にすぐ代替機を届けてくれる保守サポートへの加入や、故障時にUTMをスルーして通信させる設定(バイパス機能)の確認が重要です。

「UTMは時代遅れ…」という極端な意見もありますが、それは一面的な見方に過ぎません。正確には「UTMを核としつつ、今の働き方に合わせて守りを広げていく」ことが、これからの標準的な対策と言えます。
セキュリティの考え方は「境界防御」から「ゼロトラスト」へと変化しつつあります。だからこそ重要なのは、流行に流されることではなく、自社の「現在の働き方」と「守るべき資産の場所」を正しく把握することです。
UTMが最適な企業もあれば、そうでない企業もあります。
コストを抑えながら高いセキュリティを実現したい場合はUTMを中心とした対策がおすすめです。必要に応じてエンドポイントセキュリティと組み合わせるなど、自社の働き方や予算に合わせた構成を検討してみてください。
弊社は、これまで約5万社のオフィス・店舗のインフラ改善に携わってきました。
豊富な知見を活かし、お客様一人ひとりのネットワーク構成やご予算に合わせ、無理のないセキュリティ対策をご提案いたします。
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UTM導入を検討しているものの、「何から考えればよいか分からない」という状態でのご相談も大歓迎です。まずはお気軽にお問い合わせください。
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